子どものこころを開くこんな一言 第8回

「いつも私ばっかり言われる」

その1
今号は、友だちが作った工作を窓から投げ捨てたり、友だちの上靴を隠したり、気に入らないと友だちをすぐに叩いてしまうなどの行動を繰り返す、小学校3年生女児(キューちゃん)のお話です。

これらの行動は、3年生になった5月ごろからみられるようになりました。

自分がかんだ鼻紙を隣の子の机の引き出しの中に入れるなどの奇妙な行動も出始めました。

また、友だちのほっぺたを、「気に入らん」といって不意にパチンとたたき大騒ぎになったこともありました。

担任の先生が、「どうしてそんなことをするの!」と問いただすと、「ほくろが、ほっぺについているのが気にいらんかったからたたいた」と、言い返します。

結局、その夜、ほっぺたをたたいた子の家へ謝りに行くことになります。

お母さんは、「こんなことしたらダメでしょう。どうして分かってくれないの?」と、口を酸っぱくして叱りますが効果はありません。

最近、嘘をつくことも始まりました。

「いくら約束してもダメなんです」と母親。強く問いただすと、彼女はいつもこういいます。

「いつも私ばっかり言われる」「どうせ私なんかみんなから嫌われているもん」。

担任はベテランの女の先生です。

こういうタイプの子どもは、学級のなかでは実に指導しにくい。指導が入らないのです。トラブルメーカーです。相談は担任の先生から寄せられました。

お母さんと面接することになりました。

困っておられる様子が伝わってきました。

お母さんによると、キューちゃんは3才年上の姉とは対象的で、男の子にも大声でやりあうパワーのある女の子でした。

ところで、母親は、担任の先生からかかってくる電話が一番苦痛だといいます。出来事を逐一知らされ、その後はとてもブルーな気分です。

ある時、先生から「お母さん、最近この子に叩いておられますか」と聞かれ、子育てに自信をなくしてきたといいます。

電話を切ったあとには必ず、「どうしてあんなことをするの!」と子どもにまくしたててしまうのが、いつものパターンであるといいます。

しかし最近、キューちゃんは、「おなかが痛い」「気持ち悪い」と言いだし、性器をいじるなどの行動も出てきて、「(今までと違って)これは何か変だぞ」と思い始めていたのでした。

私は、お母さんと先生に次のようにお願いしました。

 

(池島徳大元奈良教育大学教授)