子どものこころを開くこんな一言 第10回

「なんであんたは、いつも忘れ物が多いの!」

その1
前号のキューちゃんもトラブルメーカーだったのですが、今号の子も、忘れ物が多く、いつも先生から毎日のように叱責を受
けていたケンタロー君(現在、3年生)が登場します。

2年生の前担任は、50歳ちょっと過ぎの女の先生です。パワーのある人でダメなことはダメっとズバッと指摘される先生です。「また忘れたんかーっ!なんであんたは、いつも忘れ物が多いの!」と廊下にまで響きわたる声で指導されます。

まさに男勝り。迫力ありますなぁ。しかし、この先生の「努力につぐ怒力?」も空しく、ケンタロー君の忘れ物はほとんど改善されずに1年が過ぎました。先生の善意も、子どもに伝わって何ぼ?なんですが・・・。

4月になり、前担任と同年齢の女の先生(Y先生)がこの子を受け持つことになりました。

この学校は小規模校で、どの学年も単学級のため担任の先生だけが毎年変わります。

Y先生に変わってまもなく、ケンタロー君に変化が起きはじめました。忘れ物がなくなってきたのです。驚いた母親はわが子
にその理由を尋ねてみました。

するとケンタロウー君は、「今度の先生な。一日一回は必ずぼくのことをほめてくれるねん」と、うれしそうに答えました。

実は、2年生の担任は、忘れ物のひどさを母親を巻き込んで強く指導してきました。直球勝負でケンタロー君のいけないとこ
ろ(欠けているところ)を指摘し続けてきたのでした。しかし、結果は述べた通りです。

でも新担任のY先生は、前担任と180度違っていました。Y先生の口調は、先の号で述べた、まさに「CCQ」です。(何のこ
とかお分かりにならない方は、第4回をごらんください。)

5月の家庭訪問のとき、忘れ物のことが話題になりました。お母さんは、わが子の忘れ物が少なくなってきたことを確かめたい
と思い、Y先生にいろいろと尋ねてみました。

するとY先生は、担任して間もないのですが、ケンタロー君のことを実によくみていました。

(池島徳大元奈良教育大学教授)