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教育・子どもの25年史 第11回 その1
西鉄バスジャック事件(1)
牟田武生
いじめや何となく教室に居場所を失い不登校になった多くの子ども達は 「どうして学校に行けなくなったのか。」と自分自身を責める「自責の念」 と、責任を他者に振り向ける「他罰的な気持ち」を持ち、不登校が長期 間に及ぶと同級生や担任教師に復讐の気持ちや見返してやりたいと思う 感情が強くなる。
「私を馬鹿にしたあいつらが許せない。何時かあっと言わせて見せる」 という思いが、どうしようもない自分を支えていく。自分の存在を示す ため犯行は、心理的に追い詰められた時の示唆行為としてのリストカッ トや家庭内暴力とも、内と外の行動や表し方の違いはあるが、どこか共 通する心理がある。
2000年(平成12年)5月3日の13時35分に起きた「西鉄バスジャック事件」 はその心理を象徴する事件である。
九州道大宰府インターチェンジ(IC)付近で乗客の1人であった無職の青 年(当時17歳)が刃渡り40センチの牛刀を片手に乗客に対して「おとなし くしろ」と騒ぎ出し、運転席のすぐ後ろの席を陣取ると、乗客全員に「荷 物を出せ」「女は前に出ろ。男は後ろに下がれ」と怒鳴りながら指示し た。偶然1人でバスに乗り合わせていた小学1年女児を運転席の後ろに座 らせた。
そして、事件に気づかず寝ていた女性客(当時34歳)に対し、牛刀で首 の後ろに切りつけた。倒れた女性を蹴飛ばし、乗客のカメラを奪い写真 に取った。人質になったバスの乗客の反抗を抑える見せしめだった。
(第11回その2に続く。2005.11.29発行予定)
2005.11.26
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ご協力いただいている執筆者の略歴:牟田武生(むたたけお)
1947年生まれ。72年に民間の教育相談機関である教育研究所を設立し、不登校を含めた
教育問題の相談・援助活動に取り組んでいる。現在、
NPO法人教育研究所(横浜市港南区)理事長。91年に教師・カウンセラー・児童相談所の相
談員等不登校にかかわる専門家を対象にした研修機関として不登校問題研究会を設立。元NHKラジオ「子どもと教育電話相談」相談員、不登校問題研究会代表幹事、元文部省
「不登校の実態に関する調査」検討委員会委員。主な著書:『ひきこもり/ 不登校の処方箋 増補版』(オクムラ書店)、『すぐに解決!子どもの緊急事態Q&A』 ( オクムラ書店)、『ネット依存の恐怖』(教育出版)など。