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教育・子どもの25年史 第13回 その1
少年Aの精神鑑定主文
牟田武生
[少年Aの精神鑑定主文]
非行時、現在ともに顕在性の精神病状態になく、意識清明であり、年齢相応の知的判断能力 が存在しているものと判定する。
未分化な性衝動と攻撃性との結合により持続的かつ強固なサディズムがかねて成立しており、 本件非行の重要な要因となった。
非行時ならびに現在、離人症状、解離傾注が存在する。しかし、本件一連の非行は解離の機制 に起因したものではなく、解離された人格によって実行されたものでもない。
直観像素質者であって、この顕著な特性は本件非行の成立に寄与した一因子を構成している。
また、低い自己価値感情と乏しい共感能力の合理化・知性化としての「他我の否定」すなわち 虚無的独我論も本件非行の遂行を容易にする一因子を構成している。
また、本件非行は、長期にわたり多種多様にしてかつ漸増的に重篤化する非行歴の連続線上に あって、その極限的到達を構成するものである。
- << 用語の説明 >>
- 「直観像素質者」・・・パッと一瞬見た映像が、まるで目の前にあるかのように鮮明に思い出 すことができる能力がある人のこと。一度見たものが数年後でも原色で色鮮やかに記憶の中に 再現されるので、その残像に苦しむケースもある。
- 「解離傾注」・・・意識と行為内容が一致せず、落差がある状態のこと。夢遊病者などもその 一種。
(鑑定主文は第14回その2に続く)
2006.1.27
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ご協力いただいている執筆者の略歴:牟田武生(むたたけお)
1947年生まれ。72年に民間の教育相談機関である教育研究所を設立し、不登校を含めた
教育問題の相談・援助活動に取り組んでいる。現在、
NPO法人教育研究所(横浜市港南区)理事長。91年に教師・カウンセラー・児童相談所の相
談員等不登校にかかわる専門家を対象にした研修機関として不登校問題研究会を設立。元NHKラジオ「子どもと教育電話相談」相談員、不登校問題研究会代表幹事、元文部省
「不登校の実態に関する調査」検討委員会委員。主な著書:『ひきこもり/ 不登校の処方箋 増補版』(オクムラ書店)、『すぐに解決!子どもの緊急事態Q&A』 ( オクムラ書店)、『ネット依存の恐怖』(教育出版)など。