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インターネットと若者の心理 第18回

インターネット依存からの脱出(3)

現実社会で過去に起きた人間関係のトラウマが“見捨てられ不安”になり、「また、人間関係で失敗するのではないか、今度、失敗したら、友達がいなくなる、どうしよう!」という“恐怖”が、自分を襲う。

そうなると、他人(ネットゲームやチャットだと見知らぬ相手だが)を必要以上に気遣い出す。

ネットゲームだと、一日中やっているので、いつの間にか、終わりのない関係になり、疲れ果て、例え、眠りについたとしても、自分が眠りについている間に、みんな、自分のことを忘れてしまい。置いてきぼりにされていくのではないかという不安になる。

この不安がまさしく“見捨てられ不安”の正体だが、ゲームの中のキャラクター関係やゲームの進行状態が気になって、短時間、眠っては起き、パソコンを再び立ち上げ、ゲーム仲間の様子を確認する。

ゲームの進み具合やキャラクター関係に変化が認められないと安心して、また、眠りの世界に自然に入っていく。

ネットゲーム依存の人がパソコンの前に陣取り、短時間寝たり、起きたりしながら、何十時間も続けてゲームをやる心理の深層にはそんな思いがある。

一方、チャットやメールを時間の合間を見つけては、やっている人たちの心理はどうなのだろうか。

チャットやメールは会話の延長上にある。リアルの世界でも知っている人の場合は、相手の年齢、性別、雰囲気、表情、態度など相手に関しての情報量が多いので、相手を認識することにおいて大きな過ちを犯すことは少ない。

しかし、インターネットの仮想社会で知り合った匿名の相手だと、チャットやメールの情報のみの極めて限られた世界をリアルタイムで、相手と共有化するから、お互いに想像や空想の世界が短時間に拡がっていく。

そして、チャットやメールの内容は、お互いに興味があることや同趣味の事柄が多い。

興味や趣味が同じだと、自然に仲間意識が強くなり、相手を必要以上に庇ったり、認めたりする。

また、特に相手が異性だと、女性の場合、時には相手を理想化したり、美化したりして、仮想社会の中で空想が空想を呼び、恋に恋する形で、相手とのチャットやメールにのめり込んでいくことが多い。

だが、男性の場合はナンパの一種としてくらいしか考えていない。

この温度差の違いが、仮想社会を離れ、現実社会で実際に会うと、理想の相手という女性が抱く幻想が、脆くも崩れ去り、失望に変わることが多い。それでも、男の方が強引だと、悲しい事件に発展することにもなる。

(牟田武生NPO法人教育研究所理事長)

インターネットと若者の心理 第17回

インターネット依存からの脱出(2)

ネットゲームやチャットに依存していく原因になっている「見捨てられ不安」は、今一緒にパーティを組んでいる仲間とずっと一緒にゲームをしていないと、仲間から忘れ去られるのではないだろうかとか、仲間はずれになってしまうのではないかという不安からパソコンを常にONの状態しておく。

チャット依存の人も相手からメールが返ってくると、すぐに返事を出さないと、相手の人に変な人とかおかしな人と思われ、メールの交信が出来なくなるのではないかという不安に駆られ、送受信を絶え間なくやる状態に陥る。

ネットゲーム依存とチャット依存の人に共通して見られる心理は、仲間や相手に嫌われるのではないか、見捨てられるのではないかという心理である。

この心理は自分に対する自信のなさや孤独が背景にある。

これらの依存症の人たちの多くは、現実生活において過去にも「見捨てられ不安」を経験した人である。見捨てられ不安は基本的な安心感や信頼感が育っていないことから生じる。

実際に見捨てられ不安に陥る原因として次のようなものがある。

①過去に実際に「見捨てられた」と感じる体験をしている。

・ 第一子で親に溺愛され育ったが、弟や妹が生まれ、親の溺愛の対象が変わってしまい、何となく寂しい思いをしたことがある。

・ 低学年の時は、学校の勉強がよく出来て、親の期待を集めていたが、次第に成績が落ちて何も期待されなくなったことがある。

・ 自分としては、親の言うことも聞き、家の手伝いもよくして、頑張っているのに、ちょっとした不注意で必要以上の叱責を受けてことがある。

・ 幼稚園や保育園で、自分がやってもいないことについて、罰を与えられ、以後、悪い子として扱われた経験がある。

・ 学校で仲間外れにされ、それ以降、仲間に無視されたことがある。
教育出版「ネット依存の恐怖」牟田武生著より
(牟田武生NPO法人教育研究所理事長)

インターネットと若者の心理 第16回

インターネット依存からの脱出(1)

一般的に依存症とは「快楽や安心を得られる薬物を常用し、それがなくなると不安に耐えられなくなったり、常用していない状態を異常なことだと勘違いする」ことをいう。依存させるものとして、アルコール・煙草・大麻・覚醒剤・マリファナ、シンナー等だ。

これらも薬物によって、快楽を得られるためや、止めることからくる不快を避けるために、有害であることを知りながら、その薬物を使用せずにはいられない状態をいう。

また、それは薬物以外、行為や行動において現れる場合もある。

別にしようとは思っていなかったのに、気が付いたら、やっていた癖みたいなもので、自分の体に悪い、他人に迷惑が及ぶと分かっていながらもやってしまうもの依存症に含まれる。

買い物依存、ギャンブル依存、仕事依存、セックス依存などがこの範疇に入る。

(ネット依存の恐怖牟田武生著教育出版)

ネット依存も精神的な依存(他人とのネット上でのつながり)はあるが、薬物依存のように生理的な身体依存はないので、後者に属するといえる。

後者の依存の共通項は他人に対する強い意識で、人の目が気になることからくる行動と考えることができる。買い物依存症の人は若い女性に多く、デートの時にいつも同
じバックやハイヒールなら、彼におかしく思われるのではないかとついつい気になり、バック、シューズ、ドレスと、つぎから次に買ってしまいローン地獄に落ちていく。

仕事依存の人も、仕事仲間の同僚のことが、異常なほど気になり、あいつは仕事が出来ない。仕事熱心ではないと思われるのも、不本意だし、仕事上、仲間には負けたくないと思い込み、休みの日にも仕事先に足を自然に向けてしまう。オーバーワークのため、何時しか健康を害してしまう。

他人や相手のことが、気になり、過剰に頑張ったり、適応しようとする。

その結果、依存症に陥る。心理的な背景にあるものは「見捨てられ不安」だ。

仲間や同僚、恋人に見捨てられたら、どうしよう。一人ぼっちにはなりたくないという気持ちが自分を自然に駆り立ててしまう。インターネット依存の人も、これらの人たちと同じ心理状態にあると考えても良い。

ただ違うことは、他の依存症の人たちは現実社会で起り、ネット依存は仮想現実の世界で起こる。

仲間とチャットしながらプレーするネットゲームの背景に、いじめ、不登校、現実逃避、ゲーム好きがこうじて現実社会のかかわりがなくなるなどして、ネットゲームの仮想現実の世界に、こころの居場所ができてしまった時、完全なネット依存が始まる。

同時に、心の居場所が現実社会になく、仮想現実に存在した時、ネットゲームやチャットを止めようとする自己規制力は完全に失われていく。

(牟田武生NPO法人教育研究所理事長)