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インターネットと若者の心理 第2回
はじめに
牟田武生
高速で大量の情報を素早く、低廉な価格で提供するブロードバンドの普及にともない、インターネットは仕事・個人とも利用者は拡大している。従来の電話・無線・FAXなどの通信と比べようもないほどの便利さを持っている。簡便さ、楽しさ、速さの全てを兼ね備えているゆえ、未知の世界への無限の広がりを同時に感じさせる。
魅力に溢れるものは人々を魅了させ、虜にさせ、やがて依存への道に誘う。まず始めに、若者を依存させるネットゲーム(インターネットを使った双方向性のゲーム、別名オンラインゲーム)について考えることにしよう。
ネットゲームはTVゲームとチャット(インターネット上での文字会話)の同時に楽しむことが出来、ゲーム会社より新しい企画のものがつぎつぎに提供される終わりのないエンドレスゲームだ。しかも、試用期間中の無料のゲームもあり、費用のかかるゲームでも何時間やっても1か月1500円位で楽しめる。
好きなゲームを配信している会社にアクセスし、ホームページからゲームをダウンロードし、コンビニで電子マネーを購入した番号を打ち込み、好みのキャラクター(キャラ)が自分の化身になって、冒険し、生活し、仲間を作り、自分のアイテム(価値のある武器や家などの財産や魔法)を増やし、ゲームの中で地位を上げていくことができる。
ゲームによっては、好きな人が出来、キャラ同士の合意によって、教会で仲間を集めて結婚式を挙げ、新居を購入し、新婚生活を楽しみ、仲間とともにパーテイを楽しむことも可能だ。そして、ゲーム会社の企画する大規模な戦いに仲間と共に参加し、手柄を立てれば多くのアイテムを手にすることが出来る。地位が高くなれば、みんなの賞賛を受け、尊敬や畏敬の対象にもなる。また、ゲーム上の私生活で結婚しても上手くいかなくなれば、裁判所で築いた財産を分けてもらい離婚することも出来る。現実の生活と変わらない世界がインターネットゲームの世界に存在している。
大規模なゲームでは、少ない時でも数千人が参加し、呼び物の人気のある企画では何万人の人が世界中から参加する。ネットゲームはキャラが主人公だが、動かしているのは生身の人間だから、チャットをしてもコンピュータがあらかじめ用意した返答ではないので、知らない他人とリアルな会話が楽しめる。
不登校になり、家でネットゲームをやっている子どもや若者が最近増えてきている。それらの子どものほとんどが、外出せずに家にひきこもりネットゲームをしている。なかには1日10時間以上ネットゲームをしている人さえいる。
重症のネット依存の子どもの場合、多くは昼夜逆転の生活をし、ゲーム会社のメインテナンスの時に眠り、食事もパソコンの前で摂り、家族の会話に参加しなくなり、親が呼びかけても返事をしなくなる。風呂にも冬では1ヶ月に1回、夏だと1週間に1回位になり、着替えをしないので、すえた匂いが部屋に漂い異様な雰囲気になる。
ひきこもってネットゲームに興じる子どもや若者を理解するため、漫画を読まず、アニメにも興味がない57歳の中年男の私が挑戦した。ネットゲームに嵌まったことのある若者は「アメリカで心理学を教える大学の先生が、ネットゲーム依存を調べるためにネットゲームをやり始め、ミイラ取りがミイラになったから、やめた方が良いよ」と心配のあまり忠告をしてくれた。
私がやり始めたネットゲームは子ども達に、キャラが可愛くて、子どもや若者に人気が高い韓国製のゲームだ。依存性が高いので、すでにタイ国では禁止になっている。中国でも、ゲームの中で獲得したアイテムを友達同士で“あげる・あげない”をめぐって喧嘩になり、インターネットカフェに放火し、多くの死者を出した。韓国でも多くのゲーム依存の子ども達をつくり出しているゲームの一つだ。
2005.2.4
ご協力いただいている執筆者の略歴:牟田武生(むたたけお)
1947年生まれ。72年に民間の教育相談機関である教育研究所を設立し、不登校を含めた
教育問題の相談・援助活動に取り組んでいる。現在、
NPO法人教育研究所(横浜市港南区)理事長。91年に教師・カウンセラー・児童相談所の相
談員等不登校にかかわる専門家を対象にした研修機関として不登校問題研究会を設立。元NHKラジオ「子どもと教育電話相談」相談員、不登校問題研究会代表幹事、元文部省
「不登校の実態に関する調査」検討委員会委員。主な著書:『ひきこもり/ 不登校の処方箋 増補版』(オクムラ書店)、『すぐに解決!子どもの緊急事態Q&A』 ( オクムラ書店)、『ネット依存の恐怖』(教育出版)など。