www.konayami.com

TOP > インターネットと若者の心理 第5回

インターネットと若者の心理 第5回

ネットゲーム依存とひきこもり(2)

牟田武生

「僕は、親にネットゲーム(オンラインゲーム)に依存していると言われるけど、ネット依存って何ですか」と17歳の若者は質問する。

「ネット依存についての定義は、まだないけれど、私は次の10項目で判断しているよ」
(1) 不就労・不就学の状態で家にこもっている。
(2) 1日十時間以上ネットゲームやインターネットをやっている。
(3) 朝起きてテレビやラジオ等よりも先にパソコンを立ち上げることが多い。
(4) 外出の目的のほとんどは、パソコンやネットゲームの本や雑誌を見に行ったり、ネットゲームの電子マネーをコンビニで購入するためである。
(5) 会話の大部分はチャットやネットゲームのことが多い。
(6) 勉強や学校・仕事や会社のことを話すと不機嫌になることが多い。
(7) 家族との会話が少なくなり、意味もなく塞いだり、笑ったり、考えごとをしていることが多くなる。
(8) インターネットをやっている時は、家族が声をかけても返事をしないことが多い。
(9) 食事や睡眠時間が狂い始め、生活全体が不規則になっている。
(10) インターネットをやっていない時は、常に何かにせき立てられているかのようにあまり落ち着きが見られない。

拙著『ネット依存の恐怖』教育出版より

「このような条件が5つ以上あてはまれば、要注意と考えた方が良いよ」

「僕は全部にあてはまるよ。やっぱまずいかなぁ‥でも、これからのことを考えると落ち込むし、できれば考えないで、ネットゲームの世界で遊んでいたいけど、それでは生活して行けないし、産んだ以上は親が責任取って、二十になるまでは食わして貰おうとは思うのだけれど‥」
「そんなに落ち込まないで良いよ。今後のことは徐々に考えて行こう。最初のステップとして、ネットゲームから離れて、外に出てこれたのだからいいよ。無理しないで、少しずつ出来ることからやっていければいいよ。それよりも、ネットゲームの本当の楽しさを教えて欲しいのだけれども」

「先生は少しやっているから、わかると思うけれど、テレビゲームの面白さとチャットでの仲間つくりかなあ。やりはじめると止まらなくなってしまうのは、単純に楽しいからもあるけど、ヤッパ、仲間、皆で楽しんでいるのに、自分だけ抜けることは出来ない」
戦闘にしたって、それぞれ役割があって、一つのチームみたいになって戦かうから、途中で抜けることなんか絶対に出来ない。また、戦いに勝って、奪い取った戦利品を皆で平等に分けると、仲間ってしみじみ良いもんだな。こいつ等となら、一生つき合って行けるぜという気持ちになれる。リアル(現実)の世界では味合うことが出来ない素晴らしさがある」

「戦闘で夢中になって、戦って興奮し皆で勝利の美酒を飲みあう満足感はたまらない。それに俺達の仲間はみんなLV(レベル)が高く、凄い装備品を身に付けているから、ゲーム仲間では、ひときわ目立つ存在で、まあ、戦場では華だよ。だから、俺達が仲間で戦場を歩くと、他のゲーマはさっと道を開けるんだよ。それがたまらなく気分が良いんだよ。城攻めが週一あるんだけれど、俺達がいなければ、城は守れないし、攻撃にしたって、他の城を攻め落とせないぜ」

「現実社会でも同じようなもんだけれど、それをリアルの世界ではどうして出来ないのかなぁ」

「ネットゲームの世界には、余計なことは何一つ入って来ないんだ。ゲームのことを話し、好きなゲームだけをやっていれば良いんだよ。リアルの世界は学校だの、勉強だの、部活だの、付き合いたくもない奴と義理の付き合いもしなくちゃ行けないし、大変だったよ。俺も散々リアルで頑張ったけれど、意味ねえ、こんなことしていてもと、高校行っていた時に思ったら、急に行きたくなくなったんだ」
「それから、ひきこもってネットゲームをずっとしていた」

「現実から逃げたのかな?逃げた先でネットゲームというバーチャルリアリティ(仮想現実)と出会ってしまい。現実の嫌なことが吹き飛ぶような楽しさがそこにあったって分け」

「先生、やっぱし、俺、現実から逃げたのかな‥」とムッとした顔で若者は言う。

以下次号

2005.5.6

トップへ

TOP | 第1回 | 前号へ | 第5回 | 次号へ



ご協力いただいている執筆者の略歴:牟田武生(むたたけお)

牟田武生(むたたけお) 1947年生まれ。72年に民間の教育相談機関である教育研究所を設立し、不登校を含めた 教育問題の相談・援助活動に取り組んでいる。現在、 NPO法人教育研究所(横浜市港南区)理事長。91年に教師・カウンセラー・児童相談所の相 談員等不登校にかかわる専門家を対象にした研修機関として不登校問題研究会を設立。元NHKラジオ「子どもと教育電話相談」相談員、不登校問題研究会代表幹事、元文部省 「不登校の実態に関する調査」検討委員会委員。
主な著書:『ひきこもり/ 不登校の処方箋 増補版』(オクムラ書店)、『すぐに解決!子どもの緊急事態Q&A』 ( オクムラ書店)、『ネット依存の恐怖』(教育出版)など。