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インターネットと若者の心理 第7回
ネットゲーム依存とひきこもり(4)
牟田武生
「ネットゲームの中の愛、先生は変なこと言うね。俺には愛なんて、リアルでもネット ゲームの世界でも感じたことはないからわからないけれど、親切さや優しさは感じるよ。 でも、人を騙すような悪い奴はどこの世界でもいるよ」
「リアルの世界は人間関係がめんどうなんだよね。でも、インターネットの仮想社会で はそんなことは感じないんだろう。現実と仮想の人間関係の違いはどうして起こるのだろ うか」
「仮想社会でも、人間関係は面倒だと思うけど、ゲームの世界は自分の好きな世界だから 苦にならない。相手も同じ趣味の世界のキャラだから、自然に話が合うので、全く気を使う 必要はない。別に、それはゲームの世界だけでなく、みんなそうなんじゃないですか。趣味 が合えばみんな友達ですよねぇ。でも、リアルの世界では、趣味が同じかどうか探りを一々 入れなければ分からないですよね。それをするのが大変だから嫌なのです。でも、ネット ゲームの中に入れば皆、ゲームの愛好者だから最初から気を使わずにすみます。だから、 わざわざ外出しなくてもネットで十分です。」
「そうか、外に出る必要がないんだ」
「インターネットは本当に便利で買い物も出来るし、ニュースも読めるしメールも送れる。 インターネット技術の双方向性は本当に凄いですよ。それに最近はネットゲームでリアルマ ネーを稼げるアルバイトが出来るのまであるから、何も外に出る必要はないのですよ。他の 人からから見れば、ヒッキー(ひきこもり)に見えるでしょうけれどもね。でもそれはお門 違いですよ。ヒッキーは他人に会うのが怖いんでしょ。俺はそんなことありません。人なん か怖くないし、不安でもない。外には出る必要がないから出ない。ただ、それだけですよ。」
「小さい頃からテレビゲームとか好きだったの?」
「もちろん。テレビゲームも好きだったけれども、アニメや漫画も好きだよ。」
「みんな一人遊びのゲームだね」
「俺はひとりっ子だし、小さい頃から学校から帰ると近所には友達はいなかったから、自分 の部屋でひとり遊びをして、母が帰るのを待っていた。母はパートで働いていたからね。小 学五年生位になると、両親が帰宅しても、ひとりで遊んでいれば静かだから親も怒らないし、 干渉もして来なかったから楽だったよ」
「ひとり遊び、と言ったらアニメ・漫画・テレビゲームになっちゃうよね。そうか自然にひと り遊びの世界に入って行ったんだ。気がついてみたら一人の世界が出来ていたんだ。自分の部 屋は何歳頃からあったの?」
「小学校に入学したら、今日からここがあなたの部屋だからね。と言われて、部屋で寝起きす るようになった。部屋にはテレビもあったよ。だから、幼稚園の時に買ってもらったテレビ ゲームをセットして遊んでいたよ」
「長くやりすぎて、両親に怒られなかったの?」
「小学生の時は夜9時までと決められていた。時間を守っていれば怒られなかった。中学校は 不登校になって生活リズムがメチャクチャになって、昼夜逆転した生活をしていたから決まり なんかなかった。そういえば、中学の入学祝に祖父母がパソコンをプレゼントしてくれて、 ネットゲームにはまりだしたのが中学一年生の夏ごろだった。不登校が先か、ネットゲームに はまったのが先なのか自分でもわかんないなぁ」
2005.7.1
ご協力いただいている執筆者の略歴:牟田武生(むたたけお)
1947年生まれ。72年に民間の教育相談機関である教育研究所を設立し、不登校を含めた
教育問題の相談・援助活動に取り組んでいる。現在、
NPO法人教育研究所(横浜市港南区)理事長。91年に教師・カウンセラー・児童相談所の相
談員等不登校にかかわる専門家を対象にした研修機関として不登校問題研究会を設立。元NHKラジオ「子どもと教育電話相談」相談員、不登校問題研究会代表幹事、元文部省
「不登校の実態に関する調査」検討委員会委員。主な著書:『ひきこもり/ 不登校の処方箋 増補版』(オクムラ書店)、『すぐに解決!子どもの緊急事態Q&A』 ( オクムラ書店)、『ネット依存の恐怖』(教育出版)など。