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インターネットと若者の心理 第8回
ネットゲーム依存とひきこもり(5)
牟田武生
「ゲームが先かひきこもりが先かは、たまごが先かにわとりが先かの話と同じで、 考えても結論は出ないよ。ただ、ゲーム好きの子はみんな人間関係が苦手かという とそんなことはない。」
「僕もそうだよ」
「そうだよね!ゲームが楽しくて、夢中になって嵌(はま)っているうちに寝不足になって、 朝、起きれなくなったり、学校や職場でついうっかりウトウトしてしまい昼間の生活 というか、現実社会が疎かになって“夜中にゲームばかりやっているからだ”などの 小言や苦言を先生や上司・親から言われる。・・・・“おもしろくねぇなぁー”と感じ、 現実生活がさらに引き気味になる。その分、ゲームの仮想社会にますます自然にのめ り込んでいく。同じ趣味の気が合う仲間同士のチャットでの会話、気遣いのいらない 世界。そんな世界にのめりこんで行く。親や世間から“ゲームばっかりやって”とい う非難の視線をゲーム仲間、みんなが浴びる。それが逆に団結や仲間の絆を強くして いく。そんな心理があるのではないかな」「そうだよ!先生が言うとおりだよ」
「人間関係に傷付き、ひきこもってしまった人は、これ以上、傷付きたくないからひ きこもりが長期化していく。家で何もすることがない。友達はいない。寂しく思う。 そんな時にネットゲームの双方向性の特質を利用したチャットに嵌まる。仮想社会で 匿名の人間関係の優しさに触れ依存していく。そのような心理状態の子どもに、ひき こもってゲームばかりする。“ひきこもりを止めさせるために”インターネットを取 り上げると、今までおとなしかった子どもが突然、家庭内暴力をふるい始める。現実 社会に心の居場所がない。心の居場所は仮想社会にある。それを親に頭ごなしに否定 される。心の居場所を失なったゲーム依存の子どもや若者は“死ね”と言われたこと と同じなので、命を守るための戦いが家庭内暴力になる。ひきこもりが先で、後から ネットゲームやチャットに嵌まる人はこんな事例が多い」
「僕はゲームが先でひきこもりが後のタイプだな」
「そうだね!細かく分ければ、他にも分かれるけれどゲーム優先で生活リズムを壊し、 ひきこもるタイプと人間関係を引いてしまい。淋しさや退屈しのぎにゲームやチャッ トをやる人に分けられるよ。だから、たまごが先か、にわとりが先かの話とはちょっ と違うかもしれないね」
「日本よりIT環境が進んでいる韓国で、ネット依存になる子どもの家庭環境を調べ
ると、次のような条件があてはまった。
・ 両親が40歳以上、共働き、家でひとりで過ごすことが多い子
・ 両親がインターネットやパソコンのことを知らない。
・ 友達が少ない。
・ 親戚や近所付き合いがあまりない。
・ 小さい頃からひとり遊びを良くしていた。
これらのことは、日本でもあてはまる内容だよね」
「君のようにゲーム好きだけでなく。人間関係が希薄な現代社会では、誰でも陥る環
境があると言えるよね」
次号に続く
2005.8.5
ご協力いただいている執筆者の略歴:牟田武生(むたたけお)
1947年生まれ。72年に民間の教育相談機関である教育研究所を設立し、不登校を含めた
教育問題の相談・援助活動に取り組んでいる。現在、
NPO法人教育研究所(横浜市港南区)理事長。91年に教師・カウンセラー・児童相談所の相
談員等不登校にかかわる専門家を対象にした研修機関として不登校問題研究会を設立。元NHKラジオ「子どもと教育電話相談」相談員、不登校問題研究会代表幹事、元文部省
「不登校の実態に関する調査」検討委員会委員。主な著書:『ひきこもり/ 不登校の処方箋 増補版』(オクムラ書店)、『すぐに解決!子どもの緊急事態Q&A』 ( オクムラ書店)、『ネット依存の恐怖』(教育出版)など。