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インターネットと若者の心理 第11回

ネットゲーム依存とひきこもり(8)

牟田武生

「未成年者は法律的には親権があるので、子どもと充分に話し合って、ネットゲーム をやるルールを決め、どうしても守れない場合は、関係性を“切る”という本来の父性 性を発揮する以外にないよね。子どもが家庭内暴力を起こすこともあるので注意が必要 だけどね。その点、大人の場合はもっと難しくなるよ。切り札になる親権がないからね」

「欧米社会ではどうなのでしょうか?」と真剣にネット依存の若者は質問する。

「欧米社会では、子どもが大人になれば(18歳で選挙権が得られる国があるから18 歳位から)親元を離れ、自立することが求められ、社会に対する自己責任が重んじられ るので「自分のことは自分でやり責任も取る」ことが要求される。だから、大人になっ て親のスネをかじりながら、何年間もネットゲームにはまり込んでいることなんか聞か ないし、社会的にも、許されることではないのだよ。個人の自由は最大限に認められる が、同時に自己責任も重い。それが大人の仲間入りすることなのだよ」

「どうして、日本では僕みたいにネットゲームにはまり込み、ひきこもる人が多いの でしょうか」

「質問がいよいよ鋭くなってきたね。日本人は家族や仲間がもたれ合いのような身内 社会を作り、身外(世間)そんな言葉はないよね。身内と身外を区別している。身内では 相互依存の世界を作っている。親子関係も同じで、その典型的なものが、ひきこもりの子 がいる家庭で起こる母子の共依存関係だよ。事例で多くあるケースは、母親自身、嫁姑問 題を抱え、婚家で居心地が悪く、子どもも家に精神的に居場所がない時、退行(幼児もど り)現象が何年も続くことがある。母子が共有する家庭の居心地の悪さから、共依存に陥 る事例が多い。日本人の身内を守る意識は、裏返せば、“世間体が悪い”と言う言葉があ るように、“世間を必要以上に気にする”になる。これは自信をなくしたひきこもりの人 が言う『世間の目が気になる』に通じるのだよ」

「自分自身に何か被害が及ぶのではないかと思う感情が“被害関係念慮”の気持ちに なる。だから、子どもが20歳を過ぎて、ネットゲーム依存からニートになると、親は『何 とかしなきゃ』と思いつつ、『世間に迷惑をかけるわけでもないので』まあいいか。とい うアンビバレンツ(両面価値)の感情になるのも、わかるような気がする。また、家で御 飯を食べるのだったら、そんなにお金も掛からないから「まぁいいか」と言う安易な思い が、ひきこもりをともなうネット依存の長期化に結びついているのではないかな」

「そうか、日本独特の文化というか、昔からある人間関係の問題でもあるのですね」

「そうかもしれないね。そうだとしたら『ひきこもりやネット依存』の問題は、大変大 きな社会問題になるね」

(続く)

2005.11.4


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ご協力いただいている執筆者の略歴:牟田武生(むたたけお)

牟田武生(むたたけお) 1947年生まれ。72年に民間の教育相談機関である教育研究所を設立し、不登校を含めた 教育問題の相談・援助活動に取り組んでいる。現在、 NPO法人教育研究所(横浜市港南区)理事長。91年に教師・カウンセラー・児童相談所の相 談員等不登校にかかわる専門家を対象にした研修機関として不登校問題研究会を設立。元NHKラジオ「子どもと教育電話相談」相談員、不登校問題研究会代表幹事、元文部省 「不登校の実態に関する調査」検討委員会委員。
主な著書:『ひきこもり/ 不登校の処方箋 増補版』(オクムラ書店)、『すぐに解決!子どもの緊急事態Q&A』 ( オクムラ書店)、『ネット依存の恐怖』(教育出版)など。