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軽度発達障害の子どもの支援 第1回
花輪敏男
ADHDについて学校や幼稚園などでどのようにかかわるか、特に、教育 の場で具体的にどのようなかかわりをするのかを中心に話を述べたいと思 います。
ADHDの話をする前に、いわゆる軽度発達障害について整理したいと思 います。軽度発達障害ということは、「障害は軽くて支援の軽く済む」と いうイメージがあり、少し誤解を招いていると思います。
軽度発達障害は、 きちんとした支援をしなくてはならない問題なのです。知的な障害がない か、あるいはあったとしても軽度な発達障害のことを指します。知的な障 害がないということで、そのような子どもが通常の学級にいるということ です。
特別支援教育は、一人ひとりの子どもの教育的ニーズに応えていくシステ ムにすることなのです。教育的ニーズというのは様々なものがあるので、 あまり窓口を広げると、何をやっているかわからなくなることもあり、と りあえずはLDとADHDと高機能自閉症を窓口にして、支援体制をつくっ たり、支援内容や方法を考えていきましょうというのが、現在の国の流れ です。
文部科学省などの資料には「高機能自閉症等」と表現されていますが、こ の「等」にはアスペルガー症候群も含んで考えるということです。厳密に いえば、高機能自閉症とアスペルガー症候群とは違うもので、乳幼児期の 言語発達の違いがありますが、学校教育段階になると状態像が同じになる ため、対応も同じように考えた方がよいということで、学校教育では、そ の高機能自閉症とアスペルガー症候群と分けては考えていません。
そうい う意味で、「LD、ADHD、高機能自閉症等」として、アスペルガー症 候群を含んで考えます。いずれも、育て方や環境による問題でなく、脳の 機能障害であるということです。
全国の通常学級の4万人の児童生徒を対象に「LD、ADHD、高機能自 閉症等」についての調査をしました。私も直接調査にかかわりました。そ うしたところ、LD、ADHD、高機能自閉症の可能性があると思われる 児童生徒は、6.3%存在しました。これはたいへんな数字なのです。
盲・聾・養護学校、特殊学級、通級指導教室の対象児童生徒は全体の1.55% です。その他に、通常の学級に6.3%もいるということは大変な数なの です。したがって、この数字が持つ意味は大変大きいと思います。
国とし ても、この「6.3」という数字を公表しています。「6.3%もの子ど もがいる」ということを言ったということは、その問題について、対応し ますという宣言であります。ですから、国が言ったからやらなくてはなら ないということではなくて、現実に存在するわけですので、「人がいない、 金がない」と言っていられないと思います。
2005.8.26
ご協力いただいている執筆者の略歴:花輪敏男(はなわとしお)
1950年生まれ。小学校教諭(言語障害特殊学級・情緒障害特殊学級担任)、指導主事、
教頭を経て、平成12年より国立特殊教育総合研究所情緒障害教育研究室長。平成16年度より
同研究所教育支援研究部総括主任研究官。平成12〜15年度
文部科学省特殊教育調査委員。他
に神奈川県横須賀市不登校対策検討委員会委員長、石川県金沢市特別支援教育指針検討委員
会特別委員、横浜市特別支援教育推進検討会議委員などを歴任。現在、山形県立上山高等養護
学校校長、文部科学省
「不登校・ひきこもり対策検討会」委員。
専門は情緒障害(自閉症・ADHD・不登校・緘黙・チックなど)。主な論文・著書:『LD・ADHD・高機能自閉症の子のガイド』(2005年東洋館出版)、 「特別支援教育推進のための具体的取り組みQ&A」(2004年『特別支援教育実施のガイドライン』明治図書)、『特別支援教育における養護教諭の役割』(2004年第一法規)、 「高機能自閉症の児童生徒への対応」(2004年『教職研修』教育開発研究所)、 「対談:花輪敏男+牟田武生 〜不登校・ひきこもりをめぐって〜」(2002年『子ども緊急事態Q&A』オクムラ書店)