金子 保先生の『自閉症・自閉傾向児の理解と治療指導―ことばのない子・少ない子のなおし方』
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実践研究による理論と効果的な方法
自閉症・自閉傾向児の理解と治療指導

―ことばのない子・少ない子のなおし方

金子 保
さいたま市教育相談センター所長

目次
1 自閉児の状態像
2 自閉児の人格構造
3 自閉児の一般的な指導の現状と問題
4 全人格発達支援方法と感覚統合法の利用
5 情緒の発達後の知的発達の支援
6 アスペルガー型の自閉傾向児の理解と指導


第1章

自閉症とは、その状態像 


一、多くの名称が用いられる自閉傾向児

 自閉症が問題になったのは、今から40年ぐらい前のことである。日本で問題になる前に、米国では多くの事例が報告されていた。行動傾向が大変に変わっていたことから、その理解について、多くの人に興味を持たせた。

 そして、この時に、その原因については、育て方によっての問題行動ではなく、生得的な脳の障害という考えであった。それとともに、脳の障害であり、育て方の問題ではないので、なおす方法が見つからない、なおす方法がない障害とも言われ、そのような理解に基づく研究書が多く見られた。

 しかし、近年は、昭和40年代と違って出現率は大きく変わってきているのと、昭和40年代の事例は一般に重い状態の事例が多かった。ことばも全くない子かほとんどない子が多かったが、近年は、応答の言語を持ち、要求のことばも充分に持っている子どもが多くなっている。このために自閉症とは言えない感じが強くなり、また治療指導効果によって著しく軽度になる事例も多いことから、自閉症以外に多くの用語が用いられるようになっている。

 自閉症児、自閉様、自閉症的、自閉性がある子、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー型などが用いられている。



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